私の人生で1番好きだったひとへ

好きでした。今まで生きてきた中で。きっとあれが最初で最後のときめきでした。

 

あの時のあの、胸が締め付けられるような感覚は、今はもう鮮明には思い出せないけれど、今も私のカラダの真ん中に紅く、ハートの結晶として眠っています。でも時々、その結晶が悪戯に顔を出してきて、胸が音を立ててしまって困ります。

 

もし私が主人公の本が有るのならば、貴方とのページはきっと凄く多い。私に青春があったかと聞かれれば間違いなく、あなたと初めて話した中学時代だと言うでしょう。

 

あの頃の私は思春期真っ只中で、異性と関わると意識して頬が赤くなってしまうので、異性との交流を断っていました。話しかけられてもぶっきらぼうに返してしまうため、周りに私が男性恐怖症だと思われてしまい余計に恋愛をしにくい状況にありました。

 

でも貴方は、突然話しかけてきたかと思えば、性教育の本をニヤニヤと見せてくるものですから、正直最初は苦手でした。何なんだコイツと思いました。

 

しかし、いつからでしょうか。貴方を気になり始めたのは。中学生になり親友が意味ありげに貴方を好きか聞いてきたあの夜でしょうか?それとも、2かわの1番後ろの、隣の席になってからでしょうか。

 

風呂場の浴槽の中の私は、貴方を好きになる訳ない、好きになんてならない!と、意地になればなる程に貴方に溺れてゆきました。

 

貴方は顔が整っていて、広く交流をもっていて、人たらしで、笑顔がいたづらっぽくて。女の子は皆、貴方に好意を持っていました。

 

私の友達が貴方のことを好きと言った時や、貴方が友達にバレンタインデーのチョコレートを渡されている時など、どうしようもなく切なくなって苦しくて、何度も貴方のことを諦めようとしましたが、無理でした。

 

廊下ですれ違う度に、目が合う度に、私のカラダにあるハート型の容器が熱をもって、水飴のような液体が色濃く焦がれていく。そんな感覚を覚えています。

 

私たちは多分、ずっと両想いでした。でも私には、気持ちを伝える勇気や、友達を裏切る強さがありませんでした。本当に後悔しています。

高校に入ってからは、帰りのバスでたまに会うくらいでしたが、私にとってその時間はとっても貴重なものでした。

たまにしか会えなくても、私にはもう貴方のその髪型、声、背中で貴方だとわかってしまうような好きな人センサーができてしまっていますので、一度見てしまうと、一気に熱くなって、お花がブワっと咲いてしまって泣きそうになります。貴方はどうだったのでしょうか。

視線から好意は感じますが、貴方から話しかけてくるわけではないので、本当は他に好きな人がいるのではないかとか考えてしまいます。 

 

たまたまあった友達によれば、貴方は高校でも女の子に人気で告白も絶えなかったのに、3年間彼女は作らなかったそうじゃないですか。もう期待してしまいますよ。高校に入ってからも貴方を想い続ける私と同じなんじゃないかなんて。

 

もう高校も卒業してしまって、貴方が今どうしているかなんてわかりませんが、もう一度会いたいです。会って話しかけてみたい。でも彼女が居たら凹んでしまうかもしれないですね。私が貴方の恋愛に口を出す権利は無いんですけどね。成人式あたりに会えればいいなぁ。

 

今でも大好きですよ。